農機事故の発生状況
農業における死亡事故リスク
農業従事者10万人あたりの令和2年の死亡者数は10.8人となり、過去最多となりました。これは、全産業平均や、一般的に危険な作業が多いとされる建設業と比較しても高い数値であり、農作業全般における事故リスクは高く、対策の必要性が高い状況が続いています。
農作業中の死亡事故の内訳
令和2年に発生した農作業に伴う死亡事故のうち、農業機械作業にかかる事故が7割弱を占めています。特に乗用型トラクターの操作中にかかる事故が多く、重点的な対策が必要です。
乗用型トラクターの「死亡」事故原因
特に事故の多い乗用型トラクターの死亡事故原因として「機械からの転落・転倒」がその多くを占めています。万が一の転落・転倒時に車体の下敷きにならないよう、安全空間を確保できるキャブ・フレームを装備したトラクターが有効です。車体から投げ出されないようシートベルトを着用し、頭部保護のためヘルメットを着用することも大切です。
安全性検査合格機
安全性検査の概要
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が実施する「安全性検査」に合格した農機は、前述の農機による事故や死亡リスクの発生を抑える機能を備えたものです。現在実施している安全性検査の内容は、主に以下の3種類となっています。
- 安全キャブ・フレーム検査
- 乗用型トラクターによる転落・転倒事故から運転者の命を守るために装備される「安全キャブ・安全フレーム」の部材の強度や運転席周りの安全空間が確保されているかどうかを検査します。
- 安全装備検査
- 危険源に対する防護や安全装置の装備が基準を満たしているかどうかを検査します。検査基準を上回る優れた安全装備を搭載した機械・装置には、検査合格機に★のマーク(2個)を付けています。
- ロボット・自動化農機検査
- 直進や旋回といった自動操舵アシスト機能やロボットトラクターなどの無人運転機能がついた先進的な農業機械が現場で安心して使用できるように、人・障害物の検出等の安全機能について検査します。
- 〈安全装置の例は以下農研機構ホームページからご確認ください〉
- 安全キャブ・フレーム(ROPS)
- 左右独立ブレーキの非連結状態を警告する装置
旋回時の前輪増速機構の作動を表示する装置
デフロックの作動を表示する装置
詳細は、農研機構ホームページ「農業機械研究部門」をご確認ください。
農業用安全自動車割引
ご契約のお車が、農研機構が行う安全性検査に合格した農耕作業用大型特殊自動車、農耕作業用小型特殊自動車(乗用トラクター、田植機、自脱型コンバインなど)の場合は、共済掛金が9%割引になるJA共済オリジナルの割引です。
※農研機構が行う安全性検査に合格した型式を割引対象とします。
※農研機構が行う安全性検査合格の公表年月に応じて割引の適用開始時期が異なるなど、所定の条件があります。
農業用安全自動車割引の
対象となる型式一覧
ご自身が保有されている農機が農業用安全自動車割引の対象か、メーカー・型式などから判定いたします。
農作業事故における
未然防止対策
農作業安全対策に関する情報
農林水産省や農研機構のホームページでは、安全対策等の情報が掲載されていますのでご参照ください。
農作業事故体験VRを活用した
農作業安全研修プログラム
JA共済連では、農作業安全の学習機会を創出するため、VRによる農作業事故の疑似体験を含む「農作業安全研修プログラム」を開発・提供しています。